20年間のイヴサンローラン帽子製作経験をはじめ、その他多数の帽子作りの経験蓄積、つまり
デザイナーの頭の中にのみ描かれる感性によって表現される独特の世界感を持つ帽子屋Waganseのデ
ザイン。
よく色々な方から「帽子屋Waganseはどんなデザインの帽子があるのですか?」とたずねられること
があります。でも、即答できません。なんというのか、言葉で表すことが難しいのです。
そこで帽子屋Waganseのデザインを表す何か良い表現はないかと思い考えました。
かわいいのもあるし、、、かっこいいのもあるし、、、エレガントなのもあるし、、、色んな形もあ
るし、、、いや、でもこれではどこも一緒だし、、、
高級志向の帽子で、デザインが凝っている、うん確かにそうだ、でもそれを言われても何かピン
とこない、、、
年齢問わず、ほんとうに帽子が好きな人にはたまらない帽子屋?、、、うーん、あと一息、、、
このような感じに悩んだ末、ふと頭に思い浮かんだ言葉があります。
「Waganseワールド」
この言葉がすごくしっくりきました。
もちろん帽子を見て頂かないと何のことやら(笑)それはそうなのですが、何も情報がない
中で一番想像力がかきたてられる言葉だし、実際にご覧頂いた時に、この言葉の意味を理解
いただけるのではないかと思いました。
こんなことを書いている僕ですが、メインデザイナーglicoの息子の天野孝洋と申します。
ちなみにややこしいですが、僕も母も代表取締役です。対外的には母が社長です。詳しくは
プロフィールをご覧下さい^^
母は感性で帽子作りを続けてきました。そして、これからも枠にとらわれず、それを大切に
してデザインを続けていって欲しいと思っています。
ただ!
Waganseワールドとは言っても、何か言葉で表現できるデザインの特徴があるはず!
かくいう母も感性で作っているので、自身もわからないのです。
そこで、僕は、母に何を大切にしてデザインをしているのかいくつか質問をしてみましたので、
自分の考えと共にまとめてみたいと思います。
生地の選び方の前に、生地がデザインとしてどのような役割を果たしているのか考えてみまし
ょう。
帽子でも服でも何でもそうですが、いくらデザインがよくても素材が良くなければ台無しです。
それほど素材選びは重要です。同じデザインの帽子を異なる生地で作ってみると、まったく違
う顔になってしまうほどです。
もちろん、その反対もしかりで、デザインが良くなければ、生地の良さも台無しです。生地の良さ
にすらきづいてもらえません。
そして、もう1つ重要な要素が、縁の下の力もちである生地に張り合わせる芯です。
なぜ生地をかえるだけで同じデザインであるはずなのに、まったく顔が違ってくるかといいます
と、素材の質や柄はもちろんなのですが、生地の持つ風合い、硬い柔らかい、厚い薄い、ハリが
あるない、といった要素がデザインとの相性にも関係してくるからです。
作りたい帽子のデザインに生地の相性が良いことが大変重要な要素であり、それを補うのが芯な
のです。
芯にも生地同様に様々な風合いがあり、芯選びでも大きく生地の質感が変化してしまうのです。
これらを総合的にバランスよく組み合わせることが、帽子作りの醍醐味であり、面白くもあり、
非常に難しいのです。
前置きが長くなってしまいましたが、、、
帽子屋Waganseでは、定期的に生地を買い付けにいきます。
デザインが先か、素材選びが先が聞かれることも多いですが、両方です。デザインを考えて生地
を探すこともありますし、思わぬ「出会い」もあります。生地は常に同じものが出回っているわ
けではないので、その場その場でしか出会えない生地があります。そんな一目ぼれの生地に出会
ってしまったら、どんな帽子ができるかな~とワクワクと楽しい想像をしてしまうのであります。
帽子屋Waganseでは自分達が気に入った生地は少量買い込み、それを形にしていますが、こういった
一目ぼれの生地で形になった帽子が帽子屋Waganseの帽子たちの中にはたくさんあるのです。
定番生地なら問題ないのですが、なくなり次第終了してしまう生地も多いため、必然的に数量
限定になるデザインの帽子も沢山ございますので、お気に入りの帽子がございましたら、お早
めにお求め下さい。
このように、帽子屋Waganseではもちろん「良質な生地」を選ぶことは大前提ではありますが、
ここにもやはり選ぶにあたり感性という言葉にはできないものが生きているようですね。
素材同士の組合せにも帽子屋Waganseのコダワリがあります。もちろん、あえて1つの素材など少ない
素材だけで作り上げたほうがいい場合もあるのですが、多くの素材を組み合わせて1つのデザイン
を作り上げることもよくあります。
透け感の異なるもの、光沢感のことなるもの、あげたらきりがないですが、こうした生地のもつ色
々な要素をさりげなくまぜあわせたり、時には「え?こういう組合せもありなの?」というような
異素材同士を大胆に組合せることで、奥行き感や立体感を出したり、華やかさに差がでたり、シンプルな
中でもさりげないこだわりを感じられたり、高級感がかわってきたり、こうした微妙な変化をWa
ganseならではのバランス感覚で表現されているのです。
女性特有の美しさの特徴として曲線のラインがあげられるかと思います。それと同じような感覚
でラインやフォルムを無意識のうちに表現していたのかもしれないと母は言っていました。
このライン1つとるだけで、柔らかさであったり、シャープさだったり、エレガントさだったり、
高級感だったりが幅広く、時にはさりげなく、時には大きく影響してきて、Waganseワールドの
要素の1つとして、表現されてくるのだと思います。
色は個々に様々な要素を持ち合わせています。カラーそのものであったり、その分量であったり、
配置であったり、それをかえるだけで帽子そのものの雰囲気をかえてしまいます。それらを絶妙な
バランス感覚で組み合わせて、例えば、お顔の引き締め効果であったり、エレガントな雰囲気に仕
上げたり、女性らしくしたりなどを表現しています。
また、サンローラン時代に培った鮮やかな色使いや反対色同士の組合せた作品も多く、独特な雰囲
気が帽子屋Waganseの特徴として表現されています。
帽子屋Waganseについて